「葡萄烈酒」乾杯合戦な6月7日

太陽は6時半くらいから昇っているが、出社は10時。
出社といっても、日本人は狙われないようにバスで集団出社なのだけど。
地平線と天山山脈を見ながら仕事
・・・をするはずだったのだが、肝心の仕事が遅れるとかで、
この日は何もせず事務所で終日待機して終了。待つのは疲れる。
現地の社員は、よくあることなのか
『焦らず待てばいいんだよ。いつかは何とかなるさ』
と言っていた。
これは「サラリーマン金太郎」に出てきた
「インシャアラー(神の御心のままに)」
に近い発想。やはりウイグルイスラム教圏だから、
宗徒じゃなくてもそういう考え方になるのかだろうか。
(タイの「マイペンライ」もコレに近いな、そういえば)

夜は先方の漢民族幹部数名との宴会キタコレ。
白酒かと思ったら、初めて見た酒「葡萄烈酒」がボトルで出てきた。
見た目は完全に白酒(つまりウォッカやジンのような無色透明)なのだが、
葡萄烈酒という別の酒とのこと。
ためしに一口飲ませてもらうことに。

グラスに注がれた透明な液体。
まずは匂いをかいで見ると、芳醇な葡萄の香りが漂う。
ライトボディの赤ワインのような甘みのある葡萄酒の香り。
「おお」とそのまま口をつけると、
葡萄の甘みを残しつつ、しかし度数はかなり強烈であることが判るノド越し。
飲み込んだ瞬間、咽喉から胃にかけて
流れ落ちた液体が触れた内臓が焼かれるような、燃える感触。
この感触は・・・アルコール度数50〜55度くらいか?
と、ボトルを見せてもらうとやはり53度。

しかし白酒よりは美味しいし呑みやすい。
「だからこそ、危険だ」と思った。

そしてこの恐ろしい酒が出席者10名のショットグラスに注がれ、
始まる
『乾杯』合戦。
言うまでもなく、大前提として一気飲みである。

『○○先生との友好に乾杯!!』
『今後の健康に乾杯!!』(じゃあこんな酒飲むな)
ウイグル自治区の発展に乾杯!!』
日本人の技術者さん(50代)への通訳もしつつ、
『若いんだから沢山飲めるだろう。さあ乾杯だ!!』
とのことで私も乾杯合戦に飲み込まれるのだった。

3時間半で、53度の葡萄烈酒のボトルが4本空き(全て一気飲み)、
日本人・中国人併せて4名がまともに歩けないくらい酔っ払った。

まあ何が怖いって、3時間半って言ってるけど、
宴会始まったのが20時で、終わったのが23時半だからね。
翌日会社あるのに。

こういう仕事していると、
世界中の働いている人にはタフな人が多いなあって思う。
普通に次の日働いているもの。
自分も、もっと頑張らなくては、と思ったよ。

移動しただけで終わる6月6日

眠い目をこすりつつ、朝6時起床、7時出発。
飛行機で片道4時間とか、国内移動にかかる時間じゃねーぞ!
でも機内で寝れるから、睡眠時間カバーできるな、
などと思っていたら、フライトが4時間遅れるとのこと。
朝早く起きて空港まで行った甲斐が全くないですな。
チャイナエアラインは、いい加減定刻どおりにフライトすることを
覚えるべきだと思う。利用客の機会損失が半端ないコレ。

飛行機の中ではグッスリ。
もう何か、最近、飛行機って寝心地の悪いベッド程度の認識しかない。

ウルムチ空港到着。
1年前の7月に暴動が起きたので、
http://ja.wikipedia.org/wiki/2009%E5%B9%B4%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%AB%E9%A8%92%E4%B9%B1
結構心配していたのだが、
空港、そして空港から見た街の様子は
全くそんな様子もなく、落ち着いて穏やかそうに見えた。

だからこそこの国は恐ろしいのだが。


外務省から「あまり中心部に近寄るな」とのお達しもあったので、
中心街を避けて、車で2時間半。
今回の出張先である、オアシス近くの街まで移動。

車からウイグルの大地を眺める。
前に来たのは8年前、留学時の夏に1ヶ月福建省からパキスタン国境まで
中国縦断のバックパッカーをした時だ。
甘粛省敦煌から列車で14時間揺られ、
ウルムチまでやってきたことを思い出す。
あの時はタクラマカンを越え、パキスタンの国境のあるクンジュラブ峠まで
行ったもんだが、まさか同じ人生のうちで再びウイグルを訪れる機会があるとは
予想だにしていなかった。

基本的に、旅先へは「一期一会」の心積もりで訪れているので、
2回目のチャンスは素直に嬉しかった。
といっても仕事で来ている訳だから、
出歩いたりは出来ないのだが。

移動だけで1日終了。
日没23時とか何なんだ。

まさか、というかある意味想定していたけど
「歌舞伎町」2連発だった。

こういう店はなあ、はまると奥さんと離婚してホステスと結婚したりとか、
あまりにもあんまりなフラグ立てちゃう人が居るので、
(船長が知っている人の範囲だけでも、実際に3人ぐらいいる)
ホドホドにしたほうがいいですよー。
と思いながら今日もジャックダニエルNO.7の水割りを飲んでいたのでした。
完全にホステスさんらと2人の世界に入っている3名を見つつ、
こんなところで金と時間使うくらいなら、
バーでスコッチのロックでも飲んでたいわ、
と思わないでもなかったけど、仕方ないですね。
人付き合いって大事だけど大変。

秀水市場

マッサージ後、羽毛のように軽くなった足で、秀水市場へと向かう。
ここは所謂「海賊品」のメッカ。
「おまえら著作権ってしっとる?」
的な商品を売っている店が軒を連ね、デパートの様な6階建てのビルの
全てのテナントを埋めていたりする。
最上階で部下さんらが某ブランド品のカバンのニセモノを見ていると、
中国人店員が
「オキャクサン、ニホンジン?イイノアルヨ」
と話しかけてきた。
あまりのステレオタイプに眩暈すらした。

誘われるがまま4人で奥の部屋に入ると、
6畳くらいの部屋にぎっしりとブランドのニセモノ品が!
時計にバッグ、財布にワイシャツ。全部ニセモノ。
・・・の割にはいい値段している。
『これニセモノなのに高すぎだろ!』
と聞いてみると
『違う違う!ブランドの会社が作っていないだけで、中身はホンモノ以上のいい品ね!だから高いよ!』
お前は何を言っているんだ。

因みにこの部屋、
外から見えない位置にドアがあったうえ、
部屋の中には、階段やら入り口に設置してある監視カメラモニターまで
準備してあり、かなり組織的なアレの匂いがプンプンと。
そして何が凄いって店員。
日本語で
「タカクナイヨ!オキャクサンイクラナライイノ?デンタクデ、ネダンオシエテ!」
だの
「トテモイイショウヒンヨ!カッテソンシナイヨ。」
とか話していただけならまだしも、
確認しただけでも、韓国語、英語、スペイン語でも問題なさそうに
各国の客と会話していた。
こんなところに、凄腕のマルチリンガルがいますよ。

当然、何も買わなかったよ。
だって犯罪だもの。

観光

土曜日で世間一般はお休みだけど、
当然日本から社長さんご一行がいらしているから、観光案内ですよの巻。

頤和園→鳥の巣(北京五輪スタジアム)→擁和宮
と割と渋めの観光スポットを車でご案内。
昼食もこれまた定番の北京ダック。肉まで食べるのが本場北京式。

「疲れたから、漢方医術に優れたマッサージ屋にでも連れて行ってくれ」
とのご要望だったので、マッサージ屋へとご案内。
漢方医術と関係あるか判らなかったが、
施術師は全員中国人だし、まあ大丈夫だろう。
自分もご覧の通りの生活をしているので、渡りに船とばかりに
一緒に2時間コース(1時間全身整体・1時間足ツボ)をお願いすることに。

中国に来てからは、とにかく月に1度はマッサージに行くようになった。
まあムチャな生活も祟っているんだろうし、年とったということもあるんだろうけど、
肩凝りが慢性化してきており、定期的に行かないと疲れが取れなくなってきたのである。

施術開始5分で落ちた。ガクリ。

来客

友人のお父さんが北京にやってこられた。
日本で会社経営してて、今度中国に進出するとか何とかで
部下2名を連れて北京へ。友人から「よろしく頼むよ」と頼まれていたので、
とりあえずホテルの手配と、4日・5日の通訳兼アテンドをすることに。
6日は出張だから仕方ない。

仕事終了後、ホテルで友人のお父さん(以下「社長さん」と呼称)と合流。
外見が「のだめカンタービレ」のシュトレーゼマンそっくりだったんですが、
そんなんでいいんすか、しゃちょー。
部下の方と一緒にとりあえず夕食ということで「鼎泰豊」へとお連れする。
北京に来た日本人を連れて行くなら、まずはここかペキンダックだろう。
今まで何回も、何人も連れて行った場所だが、恐らくコレが最後だろう。あと1ヶ月ないからな。

2次会はお約束で中国式カラオケ「歌舞伎町」。
自分が言うのもなんだが、ホント日本人は中国式カラオケ好きだよなあ。
今まで日本人の男連れて行って、喜ばなかった人を1人しか見たこと無い。
歌が歌える上に、キャバクラよりサービスがよくて単価が安いから、当然っちゃ当然なんだろうけど。
ここもあと1回来れるかどうかだろうなあ。
・・・などと考えながら、大はしゃぎして盛り上がっている社長さんと部下2名さんらの様子を
横目で眺める。

23時過ぎにお開き。
社長さんから「もう一軒、どっか飲みに行かないか」と誘われたので、
社長さんと2人で、北京のお気に入りバーその2「twilight」にご案内する。
「Yaoxin」と違い、オーセンティックな雰囲気のバーなので
ジャズと北京の夜景を見ながら、じっくり話をしつつ飲むなら断然こちらだ。

中国でのビジネス展開について、何点か体験に基づいた意見を聞きたいとのことで、
先ほどと頭を切り替えて話に臨む。
1時間弱ほど中国ビジネスの話をした後は、息子さんとのことなどで暫し歓談。
しかし友人のお父さんと北京のバーでサシ飲みしたりすることがあるんだから、
人生って面白い。

1時過ぎに帰宅。おつかれでしたー。